阿下喜の郷愁風景

三重県北勢町<在郷町> 地図 <いなべ市>
 
町並度 6 非俗化度 10  −員弁川の谷口集落として繁栄した町−





北勢町阿下喜の町並 重厚な商家建築も一部に見られる

 北勢町阿下喜は三重県の最北部、西と北をそれぞれ滋賀県・岐阜県に囲まれている。員弁川の流域で、周辺は平地と穏やかな丘陵が交錯している。
 古くは上木とも書き、鎌倉期には見えていた地名である。地形的には谷口集落といえる立地であり、周辺山村からの産物が集まりやすい環境にあった。二本の街道が交差する要衝でもあり、また員弁川の水運が盛んに利用され、桑名へと下った。この高瀬舟は文化年間(19世紀初頭)に開設され、米や炭、農産物が続々と積出された。
 この頃になると毎月市も開かれ、阿下喜村は1000人近い人口を擁しており在郷商業町として大きく発達していた。
 旧市街地は員弁川沿いから一段高い土地に立地しており、南北のやや広い街路とそれに直交する細い街路が古くからの道なのだろう。主にその2本に沿い伝統的な建物が見られる。特に後者では虫籠窓や格子窓を持つ町家風建築、塀に囲まれた邸宅など連続性のある古い町並を残していた。また南北の街道沿いには妻入りの建物が目につき、伊勢地方らしいたたずまいであった。
 桑名からローカル鉄道が結んでおり、阿下喜はその終点である。そのことからも物資の集散地、桑名とのつながりをもって発展してきた町であることがわかる。
 









訪問日:2011.05.21 TOP 町並INDEX