安下庄の郷愁風景

山口県周防大島町【港町・在郷町】 地図 
 町並度 4 非俗化度 10 −周防大島中東部の経済中心地−




 山口県の南東端を占める周防大島は1周すると2時間近くかかるほど大きな島であり、地元では単に大島と呼ばれている。




安下庄の町並 商家であっただろう建物が所々に残る


 ここで紹介する安下庄
(あげのしょう)地区は島の南岸にあたり、西部の南北の幅の広い部分がくびれ、内湾に面している。
 鎌倉期には安下荘という荘園であり、それが地名の由来になっているという。
 江戸時代は萩藩領大島郡に属し、藩はこの地に木綿織りを推奨したこともあって主要産業となる。塩浜(塩田)、廻船持ちなど海を舞台にした産業が行われると同時に、島の中東部の経済的中心として発達した。『注進案』によると、農漁業従事者の他に大工19・木挽4・鍛冶2・桶屋4・その他商人69などとあり、多くの商家が既に建ち並んでいたであろうことがわかる。
 安下庄市とよばれる市も存在し、日用品や牛馬、農具などの取引が盛んに行われていたとされる。
 良港に恵まれ海運が盛んで、島随一の取扱いを誇っていた。先の木綿製品をはじめ、干鰯(ほしか・肥料として重用)、鮮魚を積出し、米・木材・石炭などを陸揚げした。それらの取引先は大坂から若松(現北九州市)にわたり、島内の一大商港として位置づけられていた。
 現在では島の北岸に幹線道路が通じているからか、やや裏ぶれたような町の風情であったが、現在も商家の建物など比較的まとまった形で繁栄していた時代のなごりが感じられる。
 
 
 






 
訪問日:2014.01.13 TOP 町並INDEX