会津宮下の郷愁風景

福島県三島町<在郷町・街道集落> 地図 
町並度 5 非俗化度 7 −町の魅力発信に努力される只見川沿いの町−













旧道沿いにやや牧歌的な印象の町並風景が連なる


 只見川に沿う三島町宮下地区。只見線の駅が設けられており川との間に中心市街が展開している。
 旧沼田街道に沿い町場が発達したところで、山仕事や農耕のほか、麻を植えたり蚕を育て、紙漉きを行い生計を立てていた。また漆は御用漆として藩に納められていた。 越後街道沿いの野沢や野尻とを結ぶ街道が分岐するところでもあり、街道の要衝として在郷町的賑わいで栄えたところなのだろう。天保2(1831)年の記録では46軒・人口215人を擁していた。
 この区間は国道が崖上の高台に通されたため町並は旧来の姿を残している。旧道沿いに家々の連なる街道集落的な様相を示している。ただし、宿場町に見られるような軒を接する姿ではなく建て方がゆったりしており、土蔵を挟んだり前庭を構えたりする姿も目立ち、長閑な風情を感じながらの町歩きが味わえる。家々は雪の多い地を物語るようにトタン葺となっており、一部には中門造りを思わせる街路に突き出した構造の玄関を持つものもあった。妻入り形式の建物を中心に古い町並としての体裁が十分感じられる家並が展開していた。
 旅館の木製看板を掲げた建物があり、二階部前面に胸壁を立ち上げいわゆる看板建築の商店も見られた。また旧家を利用してランチを提供するなど、地元の方々が工夫して素材を活かし町内のみならず外来者にも町の魅力を発信しようと努力されているのを感じた。一角には「まちなか歩きマップ」があり訪ねる者を迎えてくれる。多くの旧家には、屋号を示した小さな看板が掲げられているのが印象的だった。
 訪ねた時ちょうど昼食時であったので、小さな食堂で名物であるという地鶏の親子丼を頂いた。この取組が先細りにならないようにと応援したいものだ。 

訪問日 2019.04.30 TOP 町並INDEX