会津高田南郊の郷愁風景

福島県会津高田町<農村集落>  <会津美里町>
 
町並度 5 非俗化度 10 −土蔵が印象的な会津盆地南西部の農村集落群−









永井野の町並 地図

 

 
会津盆地の南西部、広々とした田園地帯が展開している。盆地の辺縁部から数多くの川が流れ下っており、水田には最適といえる。それらの流れは盆地の北西端で一本にまとまり日本海に注ぐ。
 ここで紹介するのはそのような田園地帯に点在する農村集落だ。
 会津高田の市街地から2km弱南西側、永井野地区はその中では規模が大きく小規模名ながら町場を形成している。商業町といった風情も漂い、一本の街路筋に展開するので或いは街道集落だったのかもしれない。江戸時代は南山御蔵入領として幕府の統治下にあり、永井野組という小組織の中心で地域の米を納める米蔵が存在していた。明治中期までは永井野村という独立した村であった。また小規模ながら市が立っていたという記録もある。
 建物の敷地が広く、土蔵が街路に多く面している姿はしかし、農村集落というか豪農集落を想起させる。一部は母屋の中に取り込まれた内蔵の形をとっており、それら土蔵の表情を見て歩くのは興味深い。
 宮川という小さな流れを挟んだ南東側に旭三寄集落がある。ここは永井野地区より小規模ながら土蔵の割合が高く、母屋が後ろに控えた形となっているものが多い。造り酒屋も1軒あり現役のようであった。土壁そのままのもの、海鼠壁をまとったもの、又或いは複数の観音開きの扉を持ち裕福さを示すものなどさまざまで、わずか100mほどながら見るべき価値のある集落だ。
 水田や林檎畑も見られる田園地帯を東に2kmほど隔てたところに田中という集落がある。こちらは一本道の両側に、塀を巡らせた敷地の広い邸宅が数棟ある。集落の東半分はそれらに混じり土蔵が連続した箇所があり、中には母屋と屋根が連続した形となっているものもある。緑濃い生垣も爽やかな印象を抱かせ、全体の集落景観としても優れたものを持っていた。
 有数の穀倉地帯である会津盆地、他にも趣ある農村集落があるに違いない。時間があれば田園を辿りながらの集落めぐりをしてみるのも面白いだろう。

 




旭三寄の町並 地図




田中の町並 地図

訪問日:2015.09.20 TOP 町並INDEX