山都の郷愁風景

福島県山都町<在郷町> 地図 <喜多方市>
町並度 5 非俗化度 9 −会津の山三郷と呼ばれたところ 物資の集結地として賑わった−








商家建築や店蔵の見られる山都の町並


 会津地方の北部、阿賀川に大きな支流の只見川が合流する付近に展開する山都の町。磐越西線の駅は設けられているが、幹線交通からは切り離されたような位置にあるため静かな町の様相である。
 この地域は会津藩領の中で重なり合う山々の間に開けた地方という意味で山三郷と呼ばれ、その一つであった木曽組の中心であった。近世は木曽村と呼ばれていた。
 江戸後期の文政期に記された『木曽組風土記』によると、木曽組の村々は蝋・漆の生産で生計を立て、米作や葉煙草の栽培も行っていたとある。また「小川郷津川
(現在の新潟県津川)に米を持ち運び、塩に取り替え商売す」とある。越後街道の裏街道がここを通っていたとのことで、物流に関わっていたようだ。川沿いの平地が展開するこの地に山村部からの物資が集結し賑わいを示したのだろう。
 町並は山都駅から東側、県道16号に沿い展開していた。街村的な形で、かつての越後街道の裏街道に相当する道筋なのだろう。古い建物は多くが店舗だったらしく一階部分が開放的な構造となっていた。商家を思わせる間口の広い建物、土蔵や店蔵の連なる一角もあり、せいぜい500m弱であるがなかなか濃密な印象を抱かせた。
 現在は営業はされていないように見えたが旅館の看板の見える建物が複数あるのが印象的だった。この小さな町に何故といった感を抱かせる。物資の集散地で磐越西線開通以後も一定の需要があったのか、かつては周囲の山村から人々を集めるほどの商業町的要素があったからなのか、詳しいところはわからない。
 





訪問日 2019.04.29 TOP 町並INDEX