会津柳津の郷愁風景

福島県柳津町【宿場町・門前町】 地図 
 
町並度  5 非俗化度 7  −沼田街道の宿駅や門前町・鉱山でも栄えた只見川沿いの町 −




柳津の町並


 柳津町は会津地方の西部、只見川沿いに町が開ける。町域の大部分は山林で占められており、古くから林産業が重要な役割を担ってきた。
 福満虚空蔵尊をご本尊とする圓蔵寺は大同2(807)年に開創されたといわれる歴史の古い寺院で、古くはその門前町的役割を得て町が発達してきたところである。
 門前の道は旧沼田街道(尾瀬街道)で、ここには柳津宿が設けられていた。塔寺宿より3里3町、滝谷村へ1里30町の位置にあった。また越後街道の野沢宿より人馬継立てが行われていた。沼田街道は越後街道から分岐し、只見川沿いに南下し上州に抜ける街路で、越後と上州との物資輸送には重要な街道であった。
 また鉱業でも栄えたところで、江戸初期には軽井沢銀山をはじめとした鉱山が開発され、月に40貫の出銀高を誇ったという。銀は若松城下に献上され、藩も銀山を保護したが次第に生産量が減少し、明治に入って閉山となった。
 『新編会津風土記』によると「村中に客舎多く西頬は只見川に臨み、大概三階のかけつくりなり」とあり、川沿いに所狭しと宿屋その他が建ち並んでいた様子がうかがえる。
 只見線の会津柳津駅付近で国道から東に旧道に入ると柳津の旧市街が展開する。町の中心には温泉も湧き、その界隈では土産物屋が見られるなどやや観光地的な雰囲気が漂っている。しかし、只見川の細い支流を渡った南側では妻入りの旧家が連続した風景が見られる。真壁の妻部を街路に向けた姿には迫力を感じることができ、短い区間ながら濃厚な古い町並が残っていた。宿駅としての名残のようには感じられないが、圓蔵寺門前の賑わいや鉱山などに恩恵を受けた裕福な商家であったのだろうか。現在は柳津という地名に統一されているが、付近には一王町という名のバス停があった。
 またそこから南西に500mほ離れた安久津という地区には、土蔵を従えた入母屋や寄棟のトタン屋根を持つ家々が並び、豪農集落のような外観を示しており、中心地区とはまた雰囲気の異なる町並が見られた。




温泉街の町並




安久津地区の町並 中心街とは異なる町並が見られる



訪問日:2019.04.30 TOP 町並INDEX