安食の郷愁風景

千葉県栄町【在郷 地図 
 
町並度 3 非俗化度 8 −利根川水域の物流拠点−


 栄町は県の北部、利根川を挟んで茨城県と境を接し、付近は印旛沼に源を持つ支流などの低湿部と、度々の洪水による自然堤防により構成され、市街地や集落はその上にある。成田と常磐線の我孫子とを結ぶ成田線の沿線となっている。
 










 中心の安食地区は支流のひとつ長門川右岸の微高地に集落が発達した。北浦や霞ヶ浦方面からの魚介類を中心とした荷を江戸方面に運ぶ要地にあたり商業が発達。天保13年(1842)の記録によると質屋、旅籠屋、菓子屋、酒屋など多くの商店が立地していた。また郷蔵屋敷、船渡し場があり、近郷から年貢米が集められた。
 明治期にかけて利根川を往来する大型船も寄港するなど、河港としても発達した。
 国道356号と県道の交差点付近が古くからの町の中心で、成田線の線路の東側付近に伝統的な建物が見られる。この地域独特の寄棟屋根の母屋を持つ商店などが見られるが、屋根の傷みが激しくブルーシートや土のうで応急処置が行われているもの、蔦に一面覆われた土蔵などを見ていると、家並から歴史を感じることができるのもそう長くないように思え、やや寂しい町並探訪となった。

訪問日:2016.04.29 TOP 町並INDEX