赤間宿の郷愁風景

福岡県宗像市<宿場町> 地図 
町並度 5 非俗化度 6 −唐津街道の宿場町−




赤間宿の勝屋酒造付近の町並  赤間宿の町並。正面の2棟は築約260年、酢・醤油醸造業、両替商などを代々行った屋号蛭子屋(戎屋・恵比須屋)




 兜のような庇付き屋根の町家は九州らしい独特の外観です。 赤間の町並


赤間の町並 宿場時代からの井戸も残っています。
 
 現在この赤間に残る古い家並の姿は、江戸期に入り街道の往来が活発となって以後、唐津街道の宿駅として発展した名残である。港町若松(現北九州市)からの若松街道と、長崎街道木屋瀬宿からの往来が交わる交通の要衝であり、ここから西進し博多を経由して城下町唐津に至る往来を唐津街道と呼んでいた。
 JR教育大前駅付近からやや下り勾配気味に宿場が展開している。街道はほぼ一直線であり、宿場の街道に良く見られる鍵の手や枡形などと呼ばれる屈曲はない。遠くまで見通せる開放感のある家並である。
 家々は近畿地方や瀬戸内で多く見られる虫籠窓・袖壁を付けたものは全く見られないが、銀色の光沢を放つ桟瓦を載せた旧家は、2階部を漆喰で塗り回され小型の矩形窓が付く。また、妻入りで両袖に袖瓦を張出した兜のような外観のものも数軒残っており、風格を感じさせる九州らしい町並の姿であった。中でも宿場街の中心にある勝屋酒造付近は古い家屋が固まって残り、煉瓦製の煙突もあり町並風景に彩を添えている。駒繋ぎの鉄製の輪が錆びながらも残っていた。この旧家の2階部正面の瓦が唯一、本瓦葺であった。
 本陣や脇本陣、制札場などもあったというが今は残っていない。ただ、当時より人馬の喉を潤し、生活用水ともなった井戸が残っており、最近になっては「赤間宿」とかかれた木製の灯篭が随所に置かれたりして、雰囲気の良い通りである。旧態を保ちながら修繕工事中の古い家も見かけ、町並の保存に熱心な姿勢が伝わってきた。
 

 
 
訪問日:2003.12.14 TOP 町並INDEX