箆津の郷愁風景

鳥取県赤碕町<商業町> 地図  <琴浦町>
 
町並度 3 非俗化度 8  −大庄屋であった邸宅が歴史を物語る−






 箆津(のつ)地区は赤碕の旧市街地から西に2kmほど、大山から流れ下る2本の河川下流部の沖積地に位置し、北は日本海に面する。
 古くは野津と表記し、中世には野津郷と呼ばれた。鳥取藩領であった江戸期には木材・菜種等を産し、海岸部では海苔や肥料用の海藻などが収穫され、小さいながらも近隣に商いが行われていた。幕末の文久期頃には油粕3000石を汗入郡などに津出ししたという記録が残る。
 河本家は寛文年間に赤碕村から移り、当地を含む八橋郡の大庄屋となった。現在も邸宅が残り、重要文化財に指定されている。郡内の政治を取仕切ったほか、豪農でもあり、また幕末になって海岸部の警備に重きが置かれるようになって砲台が設置された際も、その取締役となった。あいにく訪ねた時は改装中で一部しか見学することができなかったが、茅葺の主屋をはじめ複数の土蔵が残り、広い敷地を有していた。
 この河本家付近を中心に密度はそれほどではないものの古い町並が残っており、その多くは裏手に土蔵を構える商家型のたたずまいであった。



箆津の町並




重文・河本家住宅 訪問時は改修工事中であった




訪問日:2020.04.04 TOP 町並INDEX