明浜の郷愁風景

愛媛県明浜町【漁村・産業町】 地図  <西予市>
 町並度 5 非俗化度 10 −漁業・農業さらに石灰産業の町として発達−
 
 

 

明浜(高山)の町並 


 明浜町は宇和海に面し出入りの激しい海岸線と山がちの地形のもとに展開している。幹線交通は内陸の宇和盆地を通っているため用のない限り通過することもない位置にある。
 江戸期に宇和島藩が成立すると当地は同藩に属し、高山浦をはじめとした4ヶ浦は支配十組の一つに数えられる城下組に属していた。
 町域の産業は、大きく漁業・石灰産業・そして農業の三種に分けられる。漁業は近海漁業のほか鯨漁も行われたようで、鯨を葬った墓が各所に残されているという。現在も巻き網、定置網、刺し網などの漁法のほかハマチなどの養殖漁業も盛んにおこなわれる。
 特筆される石灰産業は、既に藩政期より製造が始まった歴史の古いもので、最盛期の大正期には千人もの労働者があった。高山湾を囲む山地は全山石灰岩で、採石し麓に運ばれ窯で焼かれ、消石灰として全国に顧客を持った。この時期は水産物全体で6万円余りに対し、石灰は23万円ほどの生産額を誇り第一産業となっていた(大正13年の記録)。
 農業はこの地域一帯で盛んに行われた段畑による畑作で、既に江戸前期には集落後背の山々が切り開かれ畑が造成されていた。当初は主に甘藷が栽培されていたが、現在は多くが柑橘畑となっている。
 高山地区は町の中心で、南に開けた小湾の奥に町並が開ける。狭い平地に密集する典型的な漁村集落といえるが、純粋な漁村ではないので家々の姿から半農半漁に若干の商業という印象である。それだけに複雑に巡る路地風景の探訪は変化があって興味深いが、海岸沿いの国道を除いてはほとんど車の侵入が許されない。
 海岸に近いところでは一部に商家風の建築が見られるのが印象的である。少し洋風の外観をした万屋のような店舗が、この町並を象徴しているようでもあった。
 


 


 
   


 


 


 
   
    
  
訪問日:2021.08.07 TOP 町並INDEX