田之浜の郷愁風景

愛媛県明浜町【漁村】 地図  <西予市>
 町並度 5 非俗化度 10 −半島先端近くに展開する密集漁村集落−
 


 明浜町は宇和海に面し出入りの激しい海岸線と山がちの地形のもとに展開している。幹線交通は内陸の宇和盆地を通っているため用のない限り通過することもない位置にある。
 田之浜地区は中心街の高山地区から西に5kmほど、半島の先端近くに位置する集落である。寛文11(1671)年、高山浦の庄屋長三郎がここに移住し、開拓した新浦で、文化元(1804)年には75軒、508人と立派な集落に発達している。高山浦と同様、宇和島藩支配十組の一つに数えられる城下組に属していた。



漁港風景








 
 明治16年の記録では漁業125とあるが多くは農業との兼業で、他に大工5・鍛冶1・桶工3・染工2・商家12などとあり商工業の発達も見ていたようだ。
 高山地区よりも漁村の色合が濃いようで、港には漁船の姿も比較的見られる。宇和島方面からのバスがここまで来ているようで二車線の国道が港沿いに延びているが、そこから集落内に入ると展開するのは人がすれ違えるほどの路地のみであった。板壁に覆われた漁家らしい家が多いが、格子戸を持つ家や土蔵を従えたものなど、半島の先端近くという地であるにもかかわらず財を築いた家々も少なくないように感じた。
 小さな集落ではあるが路地と展開する家々の印象度の強さはかなりのもので、珠玉の集落として今後も生活が息づいたものであってほしいものだ。
 


 


 
    
  
訪問日:2021.08.07 TOP 町並INDEX