安芸津の郷愁風景 

広島県安芸津町<港町・産業町> 地図 <東広島市>
 
町並度 4 非俗化度 8 −西条に匹敵するほどの酒どころであった−




 竹原市の西隣に存在する当所は、江戸時代後期、藩米の積出港としても位置付けられ、商港として重要な港町であった。町の南側に開ける湾は穏やかで、島に囲まれ自然の良津として古くは万葉集にも登場するほど歴史が深い。
安芸津駅に近い「関西一」の柄酒造










 米の集散地であったことから酒造業が商業として発展していった。明治大正時代にはこの小さな町の中に五軒の蔵元があったという。この地は軟水が多く、当時灘など硬水を使用した酒造が一般的である中で、軟水による醸造を開発し、そのまろやかな味と香りは全国にその名を轟かせた。
 町の東部を中心に、現在でも古びた造り酒屋を数軒眼にすることができる。ほぼ同時期に建築されたらしく黒ずんだ漆喰塗壁の堂々とした二階建でよく似ており、母屋には杉玉が下がり、幾時代も経たその構えは重厚さを感じさせるが、現在は営業していないものもあり、中には解体作業が行われているものもあった。
 町を歩くと寺が多いのにも驚かされる。当時は重要な港町として、文化の発信地としての役割を担っていたのだろう。しかし現在町を歩くと、歴史を持った佇まいを大切に残して行こうという意識が今ひとつ感じられないのが気にかかる。




解体されたもと造り酒屋 山麓に多く存在する寺の一つ


 後半2枚:2002年4月,他:2010年6月撮影


訪問日:2002.04.21
(2010.06再取材)
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