脇本の郷愁風景

鹿児島県阿久根市<港町・漁村> 地図 
 町並度 3 非俗化度 9 −藩境に近く番所が設けられていた港町−



 
 


 

 

脇本の町並 
 

 阿久根の市街地から5kmほど北側、八代海の南を限る半島の西岸にある脇本地区。地区の西端は黒之瀬戸を介して長島と向合っている。新田川という小さな川の河口に位置し、狭いながら平地が展開している。
 東西に岬を控え南に開けた小湾となっており、古くから港が開かれ脇本浦と呼ばれていた。藩境にも近かったことから、米ノ津とともに津口番所が設けられていた。薩摩西岸の浦々から他領に向う際には、ここで手形を受けてから出港することが求められていた。また積荷についても手形銀・運上銀などという形で課税が行われた。
 産業は漁業・農業半々で、鯖・鯵・鰯・イカなどを漁獲し、農産物は米・麦・蕎麦・甘藷・煙草などがあった。明治期の『県地誌』によると脇本村の人口は3500人余り、漁船等の船舶43とある。
 河口付近が町の中心であり、右岸側には川沿いに家並の連なりがあり、左岸には寺がある。家々の造りの統一性は低く、平屋のものもあれば入母屋造りの二階屋もある。古い町並というにはややまとまりに欠けるものの、歴史をはらんだ集落であることは歩いていると伝わってくるものがある。
 一角には旅館の建物が残っているのも印象的だった。看板に仕出し・瀬渡しとあり、釣り人や催事の拠点となっていたようだ。
 
  




 
   
 

訪問日:2020.01.05 TOP 町並INDEX