原市の郷愁風景

群馬県安中市街道集落 地図 
 町並度 4 非俗化度 8  −中山道当時そのままの杉並木が残る−



原市の町並 東部では塀と門を従えた一見武家町風の佇まいも見られ また杉並木が古木となって残っている




原市の町並 街道に沿う主屋の裏手に土蔵の連なる風景があった


 安中市原市はかつては原市村という独立した自治体であったが、戦後に周辺の町村との大規模な合併があって安中町の一部となり、その後市制施行され現在は安中市の一部となっている。
 原市は中山道沿いに町が開け、安中宿と松井田宿との間宿として簡易な旅籠施設もあった。この原市を有名にしているものが街道沿いに残る杉並木である。「上毛かるた」にも詠まれる並木は地区の東部、安中宿との間に江戸時代植樹されたものだ。天保15(1844)年の『中山道原市村杉並木書上帳』では原市分387本、安中分345本つごう732本もの杉が街道を見守っていた記録が残っている。今では数本を残すのみとなっているものの、その分大木となり離れた位置から見ても不自然に感じられるほどの堂々たる存在感だ。
 原市の町は途中で坂を挟み、西高東低の地形をなしている。杉並木につながる東側は塀に囲まれた邸宅など街道町というよりは城下町・武家町を思わせる町の風景が展開している。一方で西半分の坂の上には漆喰や黒漆喰に塗り回された土蔵、そして町家風の建築も所々に残る。商店に改装されているものも少なくないことから、ここが近現代になってからも一つの町の中心部であったことが伺える。
 杉並木と町並、いずれも中山道時代の姿からすると極めて面影の淡い状態となっている。完全に消え去るのはどちらが先か。恐らくその脆さは町並のほうが強く持っていると思う。
 
 




原市の町並

訪問日:2011.08.13 TOP 町並INDEX