安立の郷愁風景

大阪市住之江区<街道集落> 地図 
 町並度 4 非俗化度 7  −紀州街道沿いに古くから開けた町−





 大阪市域の南端近く、住吉区に接する位置に南北に細長い形で開ける安立町界隈。南海線と阪堺電軌線に挟まれた位置にあり公共交通の便は良いところである。
 中世にはこの地区の西はすぐ海岸で、松原が有名だったという。
安立二丁目の町並




安立三丁目の町並




安立二丁目の町並




安立三丁目の町並
 

 町域の中心を旧紀州街道が貫き、現在も道筋がそのまま残っている。住吉大社の近くから堺市との境界になる大和川にぶつかるまで続くが、主に安立二・三丁目に歴史を感じる町並が残っている。紀州街道は本来は堺と和歌山城下を結ぶものとされており、本来堺以北は住吉神社参拝のために整備されたことに由来することから住吉街道とも呼ばれていた。ただ、江戸期にはこの区間も紀州街道と呼ばれることが一般的になっていた。
 城下町であり大商業町であった大坂を控えて、街道沿いに早期から家々が建ちならんだのだろう。宿駅機能はなく、実態は街道上に集積する商家町であった。
 現在見られる伝統的な家屋は、やはりつし二階の虫籠窓を持つ町家建築であり、商家の家並である。もっとも大都市の一角であるため、それらが連続した箇所は少ない。しかも安立三丁目の南部では商店街のアーケード内に取り込まれている。しかしそうした中でも旧家が頑なに数棟残っており、少々滑稽な印象を抱かせる。
 直交する街路には長屋風の商店建築が多数連続する景観が残るなど、多彩な町並景観が残っていた。

訪問日:2015.06.20 TOP 町並INDEX