奈良本の郷愁風景

長野県青木村<農村集落・街道集落> 地図
 
町並度 4 非俗化度 8 −古代東山道・後の保福寺街道に面していた集落−




奈良本(入奈良本地区)の町並


 上田盆地の西縁から山地に差し掛かる位置にある青木村は交通の面では重要な土地で、古代の東山道は松本方面から保福寺峠を越え、村域を縦断して浦野駅に達し、信濃国分寺前を通過して碓氷峠を経て上州に入っていた。
 中世以降も松本方面と東信地域を連絡する保福寺街道が整備され、松本藩主の参勤交代にも使われた主要道であった。
 江戸期は上田藩領で、一時盆地に下った下奈良本村と峠道に少し入った入奈良本の2村に分村し、それぞれに村役人を置いていたが、扱いとしては奈良本村一村であった。薪や松茸、萱、渋柿などが運上品として課せられ、基本的には農業で成立しており、余業として紙漉きや綿織が行われていた。
 明治後期より養蚕を基盤に置いた製糸工業が発達、大正期には下奈良本に製糸工場も建設された。戦後は乳牛を主体とした畜産農業に重点が置かれた。
 下奈良本地区には保福寺街道時代に宿駅機能を有していたとのことだが、古い町並としては残存していない。一方松本方面に少し坂を上った入奈良本地区は、長屋門風の門を持つ構えの大きい御宅や、土蔵を配したもと茅葺と思われる屋根を持つ家々などが残り、印象的な集落風景が展開していた。裕福な農村といった出で立ちで、それは街道の往来によるところも大きかったのではと思われた。
 









訪問日:2021.10.09 TOP 町並INDEX