荒島の郷愁風景

島根県安来市<在郷町> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 9  −山陰街道に沿う在郷町−





山陰街道に沿って連なる荒島の町並

  荒島地区は安来市域の西部にあって中心市街地に次ぐ一つの主要な町域を形成している。昭和29年に安来市に合併するまでは荒島村という独立した自治体だった。
 出雲国能義郡に属し、室町時代からその名が見え、古くは中海に注ぐ三角州地帯に集落が発生したとされるが、江戸時代に入ると出雲街道に沿う在郷町となった。
 中海に面する漁村でもあり、明治初年の記録では漁船38、荷船78を有していた記録がある。また内陸の広瀬へ向かう道も分岐しており、昭和初期から戦後しばらくまでの間、ここから広瀬に向かう鉄道も伸びていた。
 古い町並が見られるのは旧山陰道に沿う部分が中心で、平入り切妻の形をとる。一部には比較的連続性の高い個所もある。興味深いのは町の中央で1箇所直角に曲がる桝形があり、地図上でへの字型に展開する点である。その頂点付近の密度がもっとも濃く、見応えを感じた。赤瓦主体で光沢のある黒瓦が混じるのはいかにも山陰地方の町並らしく、2階正面の軒部分に貼瓦が施されているのも趣深い。
 1階部分が開放的な造りになっているものも少なくなく、それらは商店だったのだろう。今は看板を掲げたものもほとんどなく、旧道に沿った静かな家並が続いている。
 









訪問日:2011.06.19 TOP 町並INDEX