有壁の郷愁風景

宮城県金成町<宿場町> 地図  <栗原市>
 
町並度 4 非俗化度 7 −奥州街道 陸前最北端の宿駅−
 

有壁の町並


 有壁地区は県の北端、東北本線の駅が設置されている。
 江戸時代は一関藩領で有壁村という独立自治体であり、地内を奥州街道が縦断していた。元和5(1619)に宿駅・有壁宿が成立し、宿場町として幕末まで息づいていたところである。
 奥州街道は白河宿以北を伊達氏による全面的な管掌のもと陸奥三厩まで開かれ、さらに海路を通じて蝦夷地ともつながりを持つものであった。参勤交代制度により一関・盛岡・八戸、さらに松前の各藩主が往来し、その折に宿泊を提供する本陣も設立された。現在でも旧有壁宿には本陣の建物が現存し、奥州街道では貴重な姿を残している。国史跡に指定されており、建物のすばらしさだけでなく当時の宿泊帳ほか資料が多く現存していることも特筆される。
 有壁本陣から主に東側に町並が展開しているが、比較的家々の並びはゆったりしており、軒を接するという感じではない。主要街道とはいい東海道や中山道などと比べ土地にゆとりがあり、また間口により課税額が決定されるといった制度もなかったのだろう。
 現在見られる伝統的な建物は古くとも明治末期から大正にかけてと思われ、妻入りが主体で黒味を帯びた赤褐色の瓦で覆われていた。商業町としてはそれほど発展を見なかったようで、町並はすぐに途切れる。なお東北本線の駅前にも古くからの旅館街を思わせるやや古い町並風景が展開していた。
 
 




旧有壁宿本陣



有壁駅付近の町並

訪問日:2012.08.05 TOP 町並INDEX