芦辺(瀬戸浦)の郷愁風景

長崎県芦辺町【港町・漁村地図  <壱岐市>
 町並度 6 非俗化度 8 −壱岐島を代表する港町の一つ 捕鯨も盛んだった−








 壱岐島には旅客船の発着する港が3つあり、島の北東部にある芦辺港には博多からの高速船も運航されている。
 深い入江を挟んで壱岐八浦のうち芦辺浦・瀬戸浦の二つの港が古くから発達していた。江戸時代には全島が平戸松浦氏の支配下に置かれており、そのことが現在も長崎県に属することの由来にもなっている。
 瀬戸浦は入江の北側に展開する。箱崎村と呼ばれる事もあったというが、これは筑前筥崎宮の神領として寄進されたといういわれがあるが定かではない。密集型の漁村集落というよりは、どちらかというと町家風の建物が目立ち、商業町的な町並の外観である。酒屋3、麹屋1ど商家の記録もある(『壱岐国続風土記』)。幕末の文久年間の記録では船47隻。
 壱岐は捕鯨の盛んな土地で、勝本浦とともにこの瀬戸浦はその中心であった。獲物が大きいだけに鯨組と呼ばれる組織が組まれ、その構成員は勝本や島南部の郷ノ浦の漁民のみならず、江戸からも共同経営に加わるものが出てくるほどであったという。
 町並は面的な広がりを見せる。湾を挟んで対峙関係にある、芦辺浦同様古い町並が残っているが、こちらはやや街路幅が狭く漁師町の雰囲気がやや濃く感じられる町並であった。ただ、長屋門風の門を持つ邸宅、広い敷地を持つ旧家が散見されることから、やはり鯨景気に湧いた過去を見る思いがする。県指定の「まちづくり景観資産」に選ばれた伝統的家屋もあった。
 
 








※文章の一部は「芦辺(芦辺浦)の郷愁風景」と共通

訪問日:2015.01.02 TOP 町並INDEX