境の郷愁風景

富山県朝日町<街道集落> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7  −越後との境に位置し関所が設置された−

 



 
境の町並 左は林酒造 


 朝日町境は県の北東端、境川を挟み新潟県と接し、『郷村名義抄(越中志徴)』に、「この村、越後・越中国境に付き、則ち境村と申し伝え候」とある。北陸街道沿いの集落である。
 この辺りまで来ると平野部が狭まり、飛騨山脈の北端部に相当する山塊が迫ってくる。越後に入ると親不知・子不知をはじめ険路が連なり、旅人はこの先の険しい道のりを思ったことだろう。また逆に東国からの旅客はここで難所を越えられたと安堵したことだろう。
 境には加賀藩により関所(口止め番所)が置かれ、国境警備が図られていた。街道をまたぐように大門(街道御門)が置かれ、通行人は必ずこの門を潜らねばならない仕組になっていた。人や荷はここで改めまた取締りを受けた。また、この関所により町が二分されていたため、村役人は東西2箇所に置かれた。
 国道はこの街道集落の部分だけ山側を迂回した形になっており、旧街道を通行する車両は少なく静かだ。旧道とは言え十分な幅があり、開放的な雰囲気を持っていた。
 17世紀創業の林酒造は伝統的な構えを見せ営業中で、この杉玉のさがった老舗の付近を中心に東西に家並が連なる。西部では妻入りの建物が連続した風景もあるが、全体的には敷地に余裕があるからか、家々の立て方は主要街道の宿場町のようにぎすぎすした感じではない。
 町の中心部には、かつての大門が復元されていた。案内板によると、門の山手には関所の事務所をはじめ藩主の宿泊所であった御旅屋、奉行が詰めていた御貸屋などがあったという。
 
 



 
 



 
  街道沿いから寺へ向う小路  


 
復元された関所の門


訪問日:2023.07.16 TOP 町並INDEX