杷木の郷愁風景

福岡県杷木町【在郷町】 地図 <朝倉市>
 
町並度 4 非俗化度 10  −煙草・紙生産で栄えた筑後川沿いの町−















 杷木町は県の南東部、筑後川右岸に展開し東は大分県に接する。筑後川流域ではあるが旧筑前国の領域に属していた。
 中世には秋月氏が支配する土地で、江戸期に入り商業活動が盛んになってくると市が立ちはじめ「把伎の市」と呼ばれ賑わった。芝居なども催されていたという。
 産業も盛んに行われ、特に煙草と紙が有名だった。18世紀後半の寛政年間には博多方面へ、幕末頃には長崎方面へも移出されるようになった。また紙生産も周囲の農山村部での楮生産が盛んになり、元禄の頃には既に紙奉行を設置し管理していたという。
 明治以降になっても煙草の製造及び専売が行われるなど、産業の盛んな土地であり続けた。
 古くからの町の中心らしい佇まいは、筑後川と国道386号の間に原形をとどめている。妻入り形式が目立つのが特徴で、1階正面部は全開する構造になっているものが多くこれらは商家・店舗だったのだろう。一部にはガレージとして使われている家屋もあった。洋装の外観を示すものもあって、古い建物は概ね明治後期から昭和戦前に掛けての建築と推測される。
 現在は高速道により交通の便利な土地となり、筑後川沿いの原鶴温泉は多くの客を迎える温泉地となっている。


訪問日:2016.07.18 TOP 町並INDEX