阿蘇神社門前の郷愁風景

熊本県一の宮町【門前町】 地図 <阿蘇市>
 
町並度 3 非俗化度 2  −阿蘇の中枢・阿蘇神社の門前−





参拝客・観光客で賑わいを見せる門前街
 

 中岳などの阿蘇中央火口丘の北側、阿蘇谷東部に位置する一の宮町は阿蘇地区の観光拠点の一つとなっている。
 古代より噴火を繰り返してきた阿蘇山は、古くから信仰の対象となり神として祀られてきた。早くも7世紀には「有阿蘇山、其石無故火起接天、俗以為異、因行頭祷祭」と記録され、8世紀には火口部の水を神として祀られ、その水が涸れると、大宰府から朝廷に上申し、朝廷は天変地異を恐れて伊勢神宮へ祈ったといったことも行われていた。 肥後国一宮である阿蘇神社は阿蘇地区の中枢と言ってよい存在で、有史以来ともいえる歴史を有しており、代々世襲制で宮司をつとめる阿蘇氏は肥後を代表する豪族となった。500社を数える分社があるのも、氏の勢力によるものと云われる。
 近世になっても熊本藩により保護され、江戸後期には社殿群が藩の寄進により再建された。
 社の詳しい歴史は関連サイト等を参照いただきたく、ここでは門前の町並を中心に紹介する。
 『肥後国誌』では、江戸期には阿蘇神社周辺に宮地町、神具町、宮園町と呼ばれた門前街が形成され、地子(地代)も免除されていたという。その直接の名残かどうかは定かではないが現在も神社の北側を中心に門前街・土産物屋街が展開して賑わいを見せている。
 現在は観光地的色彩が濃く、表向きには古い町並的な風情を感じることは難しい。しかし、構成する建物は老舗を思わせる佇まいであり、建物の造りから旅館街でもあっただろうと推測される。また全体に緑濃い感じなのも古くからの門前街らしい雰囲気を高めている。
 特徴的なものに水の風景がある。一帯は阿蘇外輪山からの伏流水に恵まれており、水基と呼ばれる湧水が門前のあちこちにある。それぞれの水基には謂れを記した説明板があり、それを見て喉を潤しながら歩くのも興味深い訪問となる。 
 
 




 
 

水基と呼ばれる湧水場が随所にある


 


阿蘇神社の社殿と正面付近の町並


訪問日:2023.09.24 TOP 町並INDEX