阿多田島の郷愁風景

広島県大竹市<漁村> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8 −大竹沖の知られざる島−

       




 

 阿多田島は大竹市の沖約10km、面積2平方キロ余りの小さな島である。近年はハマチの養殖などでも知られている。
 もとは半農半漁の村であったが、大正以降は漁法の工夫により漁業中心となり、現在でも漁業を生業としている。
 港に船が近づくと、集落の背後にこんもりとした丘が迫っているのが見える。そこには阿多田嶋神社が鎮座しており、この丘に立つと、ほぼ集落全体を見渡すことができる。集落は、この丘の両側に開けた二本の細い谷間沿いに開けたわずかな平地と、その外側の緩斜面に立地している。
 全体から受ける雰囲気は、離島の割には比較的新しい建物の目立つ集落であった。しかし、土蔵が見られる路地、一部には商家風の邸宅も見られ、また斜面に接しては石垣が多用され、その一角に寺もあった。また港近くには、古い時代の岸壁の構造物である石積も残っており、歴史を感じることができる。
 島への船が発着する小方港付近は工業地帯だが、30分弱の小さな航海でそれとの対比も面白い。航路の途中には宮島の南端付近をかすめるため、観光では訪ねることのない南部から南東部の様子を見る事ができ、道中も興味深いものがある。












訪問日:2016.10.09 TOP 町並INDEX