生雲の郷愁風景

山口県阿東町<宿場町> 地図  <山口市>
 
町並度 3 非俗化度 10 −萩と津和野を結ぶ街道の要衝−


   阿東町生雲地区は県の北東部、山間の田園地帯に展開し山口線や国道9号線とは一山隔てた西側にある。
 国道は通っていないが幾つかの県道の交差する位置にあり、交通上の小さな要衝として今も位置づけられているところである。かつて萩と津和野の二つの城下町を結ぶ街道がここを通り、その宿駅がおかれていたところという。
 


 



 




 
 
 古くは長門国生雲郷と呼ばれており、その範囲は町域の南端に近い篠目付近にも及んでいたという。江戸期には生雲市と呼ばれ在郷商業町的な賑わいがあり、「元禄郷帳」によれば大工8、木挽7、鍛冶3、桶屋5、畳屋1などがあった。
 萩と津和野を結ぶ街道は萩方からは石州街道、津和野方からは野坂道と呼ばれ、石見南部との繋がりも濃かった萩の歴史を物語る。それは家々の瓦の色にも表れており、全般に赤褐色の石見系の瓦で統一されている。ここに限らず現在の県北部及び西部にあたる旧長門国域では、この赤褐色の瓦が広く分布している。
 街路は途中で直角に折れ曲る形態で、その折れ点に神社が陣座する。そうしたことから後の道路改修時には東側にバイパスし旧宿場町の町並が潰されなかったため佇まいが残った。伝統的な建物の連続はないが、集落の成立ちが古いことは一目でわかる。
 街路の中央に暗渠があり、もしかすると往時は開水路であり、生活の一部として引き込まれていたのかもしれない。
 

訪問日:2013.03.24 TOP 町並INDEX