安房鴨川の郷愁風景

千葉県鴨川市 【漁村・業業町】 地図 
町並度 4 非俗化度 7  −漁業を基盤に商業も栄えた−



 




貝渚地区の町並
 

 房総半島南東部、太平洋に面した鴨川市。多くの観光客の訪れるところとしても知られる。
 半島南端付近は8世紀に上総から分立した安房国となり、江戸期は里見氏の領するところとなった。
 外房地域には紀州の漁民の移住が盛んに行われ、その折に高い漁業技術が伝えられている。この鴨川においても例外ではなく、「マカセ網」と呼ばれる鰯網の漁法が伝えられ、漁村として繁栄した。既に元禄の頃には町が形成されていたという。紀州の漁民の定住により、次第に沖合漁業も行われるようになり、近隣の農村からも漁民を募って町は発展した。
 またこの付近の土壌は農業にも適していたことから畑作や稲作も行われ、温暖な気候もあって二毛作も可能なことで農産物も多く出荷された。海陸双方の豊かな産物に恵まれたことにより商業町としても賑わっていたようだ。特に加茂川の左岸河口付近に発達した前原村では酒造業をはじめ多くの商家が立地していた。
 
 




前原地区の町並
 国道や海岸沿いの道を走っているだけでは判りにくいが、加茂川の河口を挟んだ付近にはその名残が見られる。店蔵や洋風の構えを持つ店舗建築。それらは明治以降の姿だろうが、ホテルや観光施設というイメージとは一線を画した歴史を感じさせる街区である。二階部に木製の欄干を持つ趣ある店舗や木造建築も見ることができる。

  

訪問日:2016.05.01 TOP 町並INDEX