阿波川口の郷愁風景

徳島県山城町<在郷町> 地図 <三好市>
町並度 3 非俗化度 9 −大歩危・小歩危を擁する吉野川沿いの町−





 山城町は県の南西端、吉野川の刻む峡谷地帯に位置し、大歩危小歩危などの名勝もあるように地勢がけわしいところである。
 平野部は全くなく、集落は吉野川沿いのわずかな平地か、または斜面集落を形成している。
 かつては山城谷村と呼ばれ、土佐との国境にあったことから、阿波に入った蜂須賀氏はここを戦略的拠点として重視していたという。
川口(大川持)の町並


 
 後背地といっても険しい山ばかりで産業作物といえば煙草くらいのもので、零細な在郷町として息づいた程度であるこの町だが、歩いてみると豪壮な商家の建物が何棟か見られる。間口が広く二階の立上がりの高いそれら旧家は明治の商家を象徴するような外観であった。
 その一つは旧川口郵便局の母屋として紹介されていた。むろんそれ以前に商家であったのだろうが、洋館と連結したような外観の建物は奇妙でもあり眼を引くものである。
 国道は対岸に建設されたため旧市街は大規模な破壊から免れてはいるが、それら一部の伝統的な建物以外は多くが建て替えられ、古い町並としての連続性は見出せなかった。ただ商家建築として質的には良いものが残されているため、今後も何らかの手を打って保存していただきたいものだ。









訪問日:2012.09.23 TOP 町並INDEX