山家の郷愁風景

京都府綾部市<陣屋町・商業町> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8  −街村的展開を見せる町並は江戸期谷氏の陣屋町として経過した−
 

 

   
 



 
   
 



 
連続した家並の見られる山家の町並 
 

 綾部市山家地区は市街中心より東へ6・7kmほど、由良川の中上流域にあたり支流上林川が合流する付近に位置する。山陰本線に山家駅があるが、町の中心とは由良川を挟んだ反対側にありやや離れている。
 国道27号から若狭方面に抜ける府県道に入り、少し坂を上った台地上に町並が展開している。一直線の街路の両側に家々の建ち並ぶ街村型が約500mほど続いている。家並の連続性が感じられるのは短い区間ながらなかなか見応え感がある。比較的小規模な切妻・平入りの家々で、商店だったらしく開放的な構造を持つ建物も目立つ。中にはバッタリ床几を備えた家も見られた。これらは恐らく昭和初期頃に建てられたものと思われる。一部にはそれよりやや古いと思える虫籠窓や袖壁、一階部の格子などを備えた姿も見られた。また造り酒屋の建物も目に付いたが、裏手に廻ってみると朽ちた土蔵などが残るのみで、営業は終えられているようであった。
 江戸期には山家藩が存在していた。知行地は一万石余りながら歴代藩主は13代に及び幕末まで続き、廃藩後も一時山家県が成立した。藩主谷氏は城下町を建設し、陣屋を町並と上林川を挟んだ対岸に構えた。今の町並が整然とした印象を受けるのも、政治的に計画された町に由来していることによるのだろう。
 明治末期に鉄道が開通すると、上林地域という北部の山地から木材や薪炭が積み出されて山家はその搬出で賑わい、山家駅から積出されていった。また養蚕、生糸の生産が主要産業となり大正から昭和戦前まで続いた。その頃までが山家地区が最も賑やかだった頃なのだろう。
 幹線交通路からは外れていることもあり、時折地元の方を見るだけで静かなたたずまいであった。
 

訪問日:2023.10.21 TOP 町並INDEX