馬頭の郷愁風景

栃木県馬頭町<在郷町> 地図 <那珂川町>
 
町並度 4 非俗化度 7  −那珂川の水運と街道の結節点として栄えた町−




馬頭の町並


 馬頭は栃木県のほぼ東端、八溝山地の低い峠を経て茨城県大子町に接している。那珂川の中流域に位置し、その左岸側に市街地が開ける。正確には支流を少し入った小盆地状の地形となっている。
 中世には那須氏の所領で、その後常陸の佐竹氏と度々領地争いが起きたが、同氏が出羽に転じてからは水戸藩領として経過し維新を迎える。那珂川は水運も盛んで、水戸を経て太平洋に注ぐこともあり水戸とのつながりの深い土地であった。
 那珂川水運はここよりさらに上流の黒羽まで通じており、河岸が設けられ各地の産物、廻米の輸送などに貢献した。また水戸と奥州を結ぶ棚倉街道へも陸路でつながっており、水陸交通の結節点となっていた。
 産業としては水戸藩が生産を奨励した煙草生産があった。換金作物として馬頭のみならず黒羽から茂木付近までの広範囲にわたって盛んに栽培され、紙とともに特産物となった。煙草産業は、明治以降は法人組織を形成し大幅に生産量も増加している。
 那珂川中上流域は高速自動車網や鉄道などの現代の幹線交通路からは外れており、その分大きく開発されずかつての町の姿が残っていると言える。町の中心街には、かつて船問屋をはじめ舟運、陸運を仲立とした各種商店が林立していたのだろう。一部に塀に囲われた敷地の広い邸宅、入母屋屋根の堂々とした商家、出桁造りの関東地方らしい町家などが残る。但し、最近になって景観整備の手が入ったらしく、電線の埋設をはじめインターロッキング舗装された歩道など、町並景観に人工的な色合いが濃厚に漂う物になっている。
 




 





訪問日:2014.05.05 TOP 町並INDEX