別府駅東側界隈の郷愁風景

大分県別府市【温泉町】 地図 
町並度 4 非俗化度 2 −港町の温泉場として発展した−


 別府を象徴する風景というと旅館街から豪快に湯気が立ち上っているさま、そして地獄の風景といったところだろう。この鉄輪温泉界隈をはじめ、市街全体に温泉地が展開し、総称して別府八湯と呼ばれる。そのうち別府温泉と呼ばれるのは港や駅を中心として発達した地区で、古くから八湯の中心として賑わい続けてきた。
元町の共同浴場・竹瓦温泉




千代町の町並(楠銀天街) 楠町の町並(楠銀天街)




駅前本町の町並(北部旅館街) 野口元町の共同浴場・大和温泉




北浜3丁目の町並 駅前町の共同浴場・駅前高等温泉


 本格的に発展を見たのは楠港と呼ばれた別府港が開港してからで、町の玄関口として賑わい、商店街・繁華街も形成された。地区内にはさらに温泉と名の付く小温泉地・浴場が散在し、別府温泉そのものもそれらの総称といえる。その中心といえるのが竹瓦温泉だろう。明治12年に開湯、昭和13年築の唐破風屋根を持つ豪壮な建物で、風格を感じる。港に上った乗客たちの多くはまずこの湯で旅の疲れを癒したのだろう。ただ周囲は繁華街となっており、その対比にはやや滑稽な感を抱かせる。
 町名からも港町の中心であったと思われる楠町界隈では楠銀天街というアーケード商店街が南北に展開する。駅前通方面に向かうに従い観光客なども目立ってくるが、全体的に昭和レトロ的な雰囲気を醸し出している。
 一方駅前通を挟んだ北側は比較的閑静な街区で、小規模な商店が目立ちやや古い町並が展開している。そんな中で特筆的なのが、「北部旅館街」との文字のあるアーチのある一角である。旅館街といいながら今や数軒の小宿がひっそりと営業しているだけのようだが、ここはかつて遊郭だったところで、売春禁止法施行以後旅館街に変ったのだという。素泊り3000円程度で宿泊でき、駅前通にある共同浴場・高等温泉とともに駅周辺には格安温泉宿が多い。またビジネスホテルでも大浴場を持ち一般客も受け付けているところが多く、それらも概ね低料金である。
 またこの界隈では地元の方に古くから愛されている浴場が路地奥でひっそりと営業している姿などもあり、相当数の浴場や温泉宿が密集しているといえよう。それだけ湧出量が多く、生活に息づいているものとなっているようだ。

訪問日:2018.11.24 TOP 町並INDEX