浜脇温泉の郷愁風景

大分県別府市【温泉町・漁村】 地図 
町並度 4 非俗化度 6 −遊興的色彩も帯びていた別府八湯のひとつ−




浜脇一丁目の町並


 浜脇地区は別府市街地の南端、東は別府湾に接している。地名は付近のいたるところから温泉が湧出し、別府湾の海浜からも湧くところから浜湧と呼ばれたことに由来すると伝えられている。
 別府八湯の一つとして知られ、別府村と並ぶ温泉場として多くの入浴者を迎え入れた。殊に幕末から明治初めにかけては豊後の温泉の中でも一番の賑わいを見せていたという。西ノ湯・東ノ湯という二つの大浴場があり、明治14年の記録では両者合せ2万5000人の入浴客があった。この頃から浜脇温泉は歓楽的色彩をも強め、貸席が建ちならび、浜脇遊郭と呼ばれ賑わった。
 昭和3年に西・東の湯が一つになり洋風の鉄筋コンクリート造りの浴場がオープンした。当時としては最新鋭の温泉施設とされ、博覧会も開催された。
 最寄駅東別府駅は小さな駅だが駅舎は明治44年開業当時のものであり、風格がある。以前は多くの湯治客・遊興客を迎え入れたのだろう。地区北部の川沿い部分が温泉地の中心部であったらしいが、クアハウスといった感じの近代的なビルとなるなど風情は感じられない。一方で東別府駅に近いエリアにはまだ幾分か往時の雰囲気を残す町並があった。もっとも、ネットなどで調べると私が目にしていない多くの建物が紹介されており、見逃したものもあるのかもしれないが建物の更新は続いているようである。
 そんな中に「東町温泉」の文字のある古い共同浴場があり、現役の旅館もほとんどなくなってしまった中で孤軍奮闘の様子だった。
 
 




共同浴場・東町温泉 浜脇一丁目の町並




浜町の町並 東別府駅(明治44年築)

訪問日:2018.11.24 TOP 町並INDEX