別所温泉の郷愁風景

長野県上田市【温泉町】 地図
 町並度 4 非俗化度 4 −信州の鎌倉と呼ばれる塩田平の一角に展開する歴史深い温泉地−






 別所温泉は上田市街地から10km余り西方、塩田平と呼ばれる一帯の最奥部に位置している。上田駅から上田電鉄で30分ほどで温泉街の入口に到着する。塩田平は、鎌倉期には北条氏の支配地で、幕府の上役であった北条義政がここに居を構えており、鎌倉の代替地として着目していた。そのためこの時代は栄華を極めており、寺社も多く建立された。その多くは今も残り、信州の鎌倉と呼ばれている。
 中世末期に真田氏がこの地に入ると上田城が築城され、城下町が形成されたため重心はそちらに移り、塩田平は政治や文化の中心ではなくなった。
別所温泉の町並(北向観音門前)  
 
 
 温泉も『枕草子』に「七久里の湯」と記されるほど歴史の深いもので、13世紀頃には別所温泉と呼ばれるようになったといわれる。真田氏も度々訪れていたようで、隠し湯だったとされる共同浴場もある。上田藩領時代は5つの共同浴場があり、そのうち3箇所は藩主専用であったという。また御茶屋とよばれる藩主の休憩所も設けられていた。
 現在も3箇所の共同浴場があり風情を残している。中心を流れる湯川の川沿い、右岸側の少し離れた大湯地区に温泉街が展開する。一部には大型の旅館も見られるが、昔ながらの温泉場の風情を残し、また周囲の住宅地も土蔵などを配した姿が目についた。
 周囲には厄除けで知られる北向観音、国宝八角三重塔のある安楽寺などの名所もあり、観光客の訪問も多い。また別所温泉駅の佇まいは風格を感じさせるもので、歴史深い温泉地の玄関にふさわしいものであった。
 
 




 








上田電鉄・別所温泉駅
安楽寺の八角三重塔


訪問日:2021.10.10 TOP 町並INDEX