平川の郷愁風景

岡山県備中町<陣屋町> 地図 <高梁市>
 
町並度 3 非俗化度 8  −県境に位置する元陣屋町の町並−  





 備中町平川は県の西端、広島県との県境に接する山間の集落である。小さな盆地状の地形にわずかな人家が固まっている。
 備中町平川の町並









 鎌倉期の建武3(1336)に近江野洲郡平川荘より平川氏がここを押さえ、紫城を築城した。平川氏は紫城を本拠に周囲に数々の支城を置き、この地域を支配した。出雲の尼子氏の襲来等数々の戦が勃発した所ともなった。
 関ヶ原の合戦を機に紫城は廃された。以後幕末に至るまで平川は小規模な陣屋町として、幕府直轄地であった。平川氏はこの地に庄屋職として残り、統治を続けた。
 この町でまず特徴的なのがそのアクセスぶりであろう。平川は岡山県に属しているが、集落へは広島県側から入る方がよほど便利である。高梁市方面などへも道路が通じているが、いずれも幅員が狭く脆弱な道だ。私が最初通ろうとしたダム沿いの道は落石で通行止となっていた。東側・南側には目立った集落がなく、商圏も広島側なのだろう。
 家並は比較的密な街村状を示しており、伝統的な建物は多くはないもののもと商家・商店だったらしい1階部分が開放的な造りになった家屋等が見られる。山陰系の赤瓦屋根の家が目立つ点が備後地区とは異なる点であった。
 目的がない限りまず訪れることのないような場所にある集落だが、一角には紫城を解説した案内板が設置されており、訪問者を受け入れる意識が感じられた。


訪問日:2014.04.27 TOP 町並INDEX