備中吉井の郷愁風景

岡山県芳井町<商業町> 地図 <井原市>
 
町並度 3 非俗化度 10  −東城往来と小田川の流れに沿う町−





吉井の町並


 芳井町(中心地は吉井と表記)は県の南西部、井原市の北に接し、高梁川の一大支流である小田川沿いに町が開ける。
 古くはここを東城往来が通過していた。笠岡から井原、そしてこの吉井を経て、吉備高原の尾根集落である高山市を経て備後に向う街道だ。城下町東城への往来のほか、中国山地一帯で盛んだった製鉄業もあり、砂鉄や鉄製品の運搬にも利用されていた。
 吉井は東城往来に面する集落であったが宿駅の機能もない単なる街村・在郷町であったようだが、山陽道の七日市宿の助郷村に指定されており、宿駅業務の労役に服す者も多かった。天文5(1740)年の村明細帳では酒屋や医者の名が見え、大工6軒や鍛冶屋5軒、紺屋・桶屋それぞれ3軒など商人の立地もあり1300人余りの人口を擁していたと記録されている。
 明治以降に養蚕が盛んになり、それまで煙草とコンニャク程度であった産業に変化があった。製糸業も発達し、この頃が吉井にとって最も賑やかな時期だったのだろう。第一次大戦後にはそれも衰退している。
 小田川左岸に沿う一本道に古くからの町並が連なるほか、一部は右岸の川筋と直交する街路沿いにも伝統的な建物が一部残っていた。現代的な建物に建て変っており、所々に町家建築や土蔵が見られる程度で古い町並としては今ひとつといったところであった。




吉井の町並 与井の町並






与井の町並

訪問日:2010.10.17 TOP 町並INDEX