仏生山町の郷愁風景

高松市仏生山町<門前町> 地図
 町並度 4 非俗化度 7 −広い街路に殿様道の風格が感じられる−





大型商家建築の残る仏生山町の町並
 

 高松市の南郊の住宅街となっている仏生山町。ここにある法然寺は藩の菩提寺であった寺だ。高松城を防御する南の砦としての役割もあり、敷地内にある池は濠のようであり、それらに囲まれる寺院の建物群のさまは城郭のようであった。
 門前町には当時の一直線の街道がそのまま残されている。藩政時代には高松藩主が大名行列をなしてしばしば参拝したといわれ、殿様道とも称された。約1kmの街道には、最盛期100軒余りの旅館、そして商家があったという。庶民の参拝者も多く、近隣の商業の中心としても賑っていたようだ。

 


法然寺の山門を望む(2002.04撮影)







 沿道には繁栄の時代そのままの商家も一部残り、今でも商いを続けている。呉服屋・酢屋などが伝統的な構えを守りながら営業されている姿は、大型集合店舗への集約著しい昨今にあっては、稀少性の高いものだ。総じて間口が広く、伝統的な家屋では本瓦・中二階虫籠窓などが見られる。
 昭和初期には郊外の塩江温泉まで専用軌道が延び、ガソリンカーが結んでいたこともあったという。それだけここは人の集まる拠点としての位置付けがあったことがわかる。
 古い町並としての連続性は今ひとつとはいえ、質感の高い商家建築が多く見られることで訪ねる価値のある町並といえよう。
 街の匂いに雰囲気に、殿様の通った道としての威厳がどこと無く感じられる。




訪問日:2002.04.29
2011.02(再)
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