豊前八屋の郷愁風景

福岡県豊前市【宿場町】 地図 
町並度 4 非俗化度 8 −中津街道の宿駅−



八屋の町並 右は浦野醤油の建物


 八屋町は豊前市の中心市街地の一角を占め、かつては八屋町という単独自治体であった。市役所や公共機関がある地区よりはやや西側の街区となる。
 江戸時代は小倉藩領に属し、地内を中津街道が横断していたところで、寛文3(1663)年には宿役を命ぜられ、以後町家で建ちならんだという。中津街道は小倉城と中津城を結び、下往還・小倉街道とも呼ばれていた。
 東に港町宇島を控え商家の立地も多く、宿屋をはじめ藩の御茶屋や御蔵などが設置されていたという。また修験の山・求菩提山へ向う道がここから分岐していたことからも賑わった。
 幕末に藩は宇島の築港を完成させ、明治期に入ると阪神方面との海上交通が盛んになった。その頃から次第に地区の中心は宇島に移り、国鉄の駅も設置された。
 旧中津街道はバス通りともなっている県道113号線の山側に並行して残っている。賢明寺という寺があり、この付近が古くからの八屋地区の中心と思われる。もと商店だったと思われる建物が連なり、直交する小路には文政8(1825)年創業の老舗である浦野醤油が、妻入りの厳かな構えを見せておりこの町並のランドマーク的存在となっている。また、賢明寺脇の街路にも古い建物が散在しており、これがもと求菩提山への街路だったのだろう。
 伝統的建物が際立って連続するといった形ではないが、一見して古い町並であることがわかる佇まいである。








訪問日:2016.07.17 TOP 町並INDEX