父鬼の郷愁風景

大阪府和泉市<農村集落・街道集落> 地図 
 町並度 4 非俗化度 10 −紀州とを結ぶ街道の峠下に展開する集落−
 

 父鬼街道は紀州街道(熊野街道)の鳳から和泉市に入り、和泉山脈を越えて大和街道の西笠田に達する街道である。現在は峠部分にトンネル新道が開通し難なく通過してしまうが、かつては鍋谷峠という難所であった。
 






商家を思わせる佇まいや石垣上の屋敷など様々な表情を見せる父鬼集落

 


 父鬼は和泉側にある峠下の集落名でもあり、一説によるとこの地に父鬼が住んでいたという伝承によるとも云われている。峠は険しくも紀州との往来上重要な街道で、西国三十三所巡礼でも賑わいを見せた。
 集落は父鬼川沿いの谷に細長く立地している。国道バイパスが東側を通過しているため、集落内は車の往来も少なく静かである。カーブしながら緩やかな坂道を辿ると山々に抱かれ都市近郊とは思えない集落風景が展開する。街路に接して家々が建ち並ぶのではなく、面的な展開を示していて、街道集落というよりは農村集落といった風情であった。
 特徴的なのがバスの通るメインの道路沿いとは別に、東側の山手にもう一筋街路があり家並が見られることだ。あるいはこれが古くからの父鬼街道筋だったか。斜面克服のため高石垣が積まれ、その上にも大柄な家々が見られる。裕福な農家が多かったのだろうか。ここは江戸期には稲・麦をはじめ煙草、柴、柿などを産し、特に茶と白炭が名産とされた。
 山手の道から見る屋根並もなかなか見応えのあるものだった。

 

  




 



 

訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX