小さな郷愁風景〜愛媛県の風景〜



肱川の風景(肱川町)






 肱川町は名の示す通り大洲市を経て長浜町で海に注ぐ肱川の中流域に展開する。
 流域の諸山村の産物は、ここで川船に積み込まれ輸送されていった。生活物資も下流側から荷揚げされ、川港としての賑わいを示していた。
 現在町の中心を歩いても、かつての活気に及ぶべくもない静かな家並が谷間に僅かに固まっているだけである。立派なバス待合所の建物が不似合いに感じる集落であった。

(10.07.18)
 


三机の風景 (瀬戸町)






 細長い佐田岬半島のほぼ中央に位置する三机の町。ここは特に幅が狭く、江戸期には参勤交代時などに危険な佐田岬まわりを避けるために、陸地を開削して経路を短縮しようと試みた。それは未完成のまま終ったが、参勤交代などの泊地として重要な港となり、町家が建ちならんだ。また明治以降は本州との連絡船も就航していたという。
 現在では伝統的な建物はごく一部に残っているだけである。

(10.07.18)


西条の風景


 
 

 

 

 

 石鎚山麓に位置する西条の町。伏流水が市街地のあちこちに自噴し、湧水の豊かな風景が展開している。「うちぬき」と呼ばれる伏流水の泉、それに源を発する流れの風景はこの町最大の特色あるものである。
 江戸期は陣屋町として政治の中心、周囲の新居郡・周布郡・桑村郡一帯の中心商業都市として発達した。現在は工業都市ともなり、町並・家並からは陣屋町時代を思わせるものは伝わってこない。ただ昭和の商業地といった趣が残る一角は所々に見られる。水のある風景と併せて訪ねることで、風情を感じることができるだろう。
(20.11.23)  

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