小さな郷愁風景〜長野県の風景〜

贄川の風景 (楢川村)



 中山道は現在の塩尻市南部にある本山宿を経て、山深い木曽路に入る。その入口の桜沢という間宿付近には国道沿いに「是より南 木曾路」と刻まれた石碑が残り、情緒を醸し出してくれる(左の写真)。
 江戸方から見て木曾路最初の宿駅が贄川である。幾度となく大火に襲われたこの町は宿場時代の面影はわずかしか残っていない。それでも所々独特の出梁造りの旧家が散在し、古い集落であることを証明していた。途中には水場も残り、北端の国道19号線と交差する辺りには番所跡も復元されている。
 奈良井川が深く刻んだ谷の斜面にノミで筋を引いたようなところにある集落である。木曽路の地形の険しさを物語るようなところであった。

 (04.05.29)



 飯田の風景 (飯田市)




 伊那地方の中心飯田は城下町として発展し、起伏のある土地に碁盤目状の地割が計画され、武家地や町人地がおかれた。
 かつては城下の風情ある町並が連なっていたのだろうが、昭和22年の大火により市街地の大半が焼失してしまった。しかし仲ノ町など一部の地区ではわずかに面影が感じられる。

(11.07.17)




 戸倉の風景 (千曲市)
 

 

 

 

 戸倉には北国街道・善光寺街道と呼ばれた往還の宿駅・下戸倉宿が設けられていた。隣接する上戸倉宿とともに合宿として宿役を担った。現在は幹線国道沿いとなっており、町並としては全体的には宿駅時代の面影はあまり残っていない。
 そんな中で、茅葺の大柄な建物が異彩を放っている。現在は蕎麦屋となっているが、もと造り酒屋で、築250年を誇る建物である。裏手には土蔵群が連なり、宿場町時代から町を見てきた存在として貴重なものだ。

(24.06.01)


上山田の風景 (千曲市) 
 

 

 

 

 
 北国街道・善光寺街道沿いと千曲川を隔てた左岸側には温泉街が開けている。北端付近の戸倉温泉と一体化しており、一般には戸倉上山田温泉と呼ばれることが多い。
 明治半ばに千曲川の中州で温泉が掘削されたのが始まりで、その後今の上山田温泉の場所でも源泉が掘られ、上山田温泉が開湯した。
 特徴的なのは旅館街より繁華街といってよい。県内では珍しいといってよい歓楽色の濃い温泉街で、町の規模からして不釣合いとも思える規模の飲食店群が見られる。これらの姿も、今や郷愁の風景といってよいものがあろう。

(24.06.01) 

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