小さな郷愁風景〜大分県の風景〜


鉄輪温泉の風景 (別府市)






 
 別府はその湧出量は桁外れで冬場は余り湯により海岸付近の水面全体から湯気が上がるほどであり、源泉だけでも3000近くあるという全国に名を轟かせる代表的な温泉場である。別府温泉というのは狭義には別府駅周辺の海岸に近い付近を指すものであり、それを取囲むように7箇所の温泉地がひしめいている。その中で最も昔ながらの湯治場といったイメージの強いのがこの鉄輪(かんなわ)温泉である。
 ここは有名な地獄巡りの中心に位置していることからも宿泊者のみならず観光客の訪れが絶えないところでありながら、狭い路地に入ると、木造の古めかしい旅館が多く残っているのに気付く。迷路のようなその路地群は浴衣姿で闊歩するにふさわしく、車で安易に乗り付けるに不相応である。
 普通の民家とそれほど変らない造りの建物も、商人相手の素泊まり旅館など温泉を商売にするお宅である。共同浴場の多さはもちろんのこと、日帰り入浴に浴場を開放している旅館も多く、目移りするほどである。側溝には全て湯が流れているほどでここが別府の温泉街の中心であるのを感じる。
 斜面に開けるこの鉄輪付近では、冬場を中心に濛々と各旅館から湯気が立ち上る迫力の風景も見ることが出来る。

 (06.08.14)

天ヶ瀬温泉の風景 (日田市)










 筑後川の支流・玖珠川沿いに開ける天ヶ瀬温泉街。久大本線の駅もあり交通至便なところである一方、河原の露天風呂が名物であるように野趣に富んだ温泉地でもある。
 その歴史は古く、一説によると天武天皇の頃(7世紀後半)に地震による山崩れで温泉が湧出したともいわれ、江戸時代後半の頃には湯宿が集まっていたという。
 温泉街は一部に大型の観光旅館も見られるが、湯治宿を思わせるような小規模な旅館も眼につく。川沿いの一本道で、歩いていると常に玖珠川の川音が聞こえ、清涼感を味わいながらの町歩きとなる。

 (16.07.17)

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