小さな郷愁風景~山口県の風景(2)~

大嶺の風景 (美祢市)



 山陽本線の厚狭と山陰本線の長門市とを結ぶ美祢線。かつて1本の支線を持っていた。大嶺支線とも呼ばれるもので、大嶺地区で生産される石炭を運搬するために建設された。
 現在は廃坑となっており、家並もひっそりとしている。しかし最盛期には坑夫をはじめ1万人もの人口があったという。現在でも立派な商家風の建物や、営業中かどうか定かではないが旅館も数軒見かけ、町として賑わっていた残影が感じられた。

(16.03.23)
下松の風景 (下松市)


現在の下松駅付近を中心とする市街地の発達は、内陸部の旧山陽道沿いとは別で、下松浦という港町としての名残である。
 西豊井村の浦町から発展し、街道沿いに酒屋、鍛冶屋、紺屋なども建ち並んだという。現在の県道と山陽本線の間にその道筋が残り、中市など当時からの地名も残る。町並は散在的ではあるが妻入りの町家風旧家や洋風建築なども見られ、古い町並的な風景を形成していた。

(17.03.19)

滝部の風景 (下関市豊北町)


 豊北町滝部はこの地域の商業中心であった西市から海岸部の阿川・二見方面への中継地に当たり、古くから町場が発達し滝部市と呼ばれていた。商人として60軒余りの家が認められていたという記録もあり、地域の在郷町的役割を果していた。
 古い町並としての姿は残念ながら淡い一方、北側の小高いところにある旧滝部小学校は一見の価値がある。大正13年竣工の洋風の学校建築で、いかに繁栄しそして先進の地であったかということが伝わってくる。

(19.06.15)

 
   
 端島の風景 (岩国市)
   
 

 

 
 岩国沖にある柱島群島のひとつ。位置的には周防大島と倉橋島の中間にある。島は中央が低地となり南北2つの山塊がつながったような地形であり、低地部と北東部の入江沿いに集落や耕地がある。入江は柳ヶ浦と呼ばれる良港で、かつては一本釣り漁業で栄えたが、最近は養殖漁業にシフトしている。
 島の人口は激減しており、集落内も空き家が多い。集落のはずれには立派な小学校の建物があるが、現在は児童がいなくなったため休校になっている。
 入江越しに見る瀬戸内の海は穏やかであったが、高齢化・人口減少の速度には抗しきれないようだ。


(19.12.08)


 川棚温泉の風景 (下関市豊浦町) 
 

 

 下関の市街地からは北に20kmほど、響灘から少し山手に入った小盆地に位置する川棚温泉。歴史は室町時代に遡るといわれる非常に古い温泉場で、歴代の長府藩主の御殿湯が設けられたり、数々の著名人の利用もあった。
 現在も下関の奥座敷の名の通り、住宅に混じって旅館街が展開している。奥に位置する妙青寺には雪舟が築いたとされる庭園がある。
 ただし、温泉街外側にある1軒の大型旅館と共同浴場は賑わいを見せていたが、小規模な旅館で営業されているのは数棟のみのようで、町並・温泉街として見た場合はやや寂しい状況になっているようだ。

(23.01.03)
 

 

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