近永の郷愁風景

愛媛県鬼北町【在郷町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8   −盆地に展開する小在郷町−












街道沿いに洋風の装いの建物も見られる近永の町並


 宇和島から予土線で30分余り、四万十川水系の支川が合流し小盆地を形成したところにある近永。周囲は思わぬ田園地帯の広がりがある。
 江戸時代は宇和島藩領で、当初は農村に過ぎなかった。しかも「日損所」ともいわれるような灌漑に不利な土地でもあり、干害も多く発生していたという。
 しかし、ここに藩の代官所が置かれると北側の日吉方面などを後背地とした小規模な在郷町として機能した。三間盆地と呼ばれる付近一帯では養蚕も盛んに行われるようになり、交通の要地ともなり店舗が建ちならんだ。
 古い町並といえる際立った連なりはないものの、個々では特徴のある建物が見られる。中でも寄棟屋根の間口の広い建物が数棟見られたのが印象的で、瓦を載せた門を従えるものもあった。明治以降に建てられた事業所の建物だろうか。洋風の外観に「旭郵便局」の文字が見える建物、緑豊かな木々の奥に控えるのは医院だったのだろうか。
 駅の反対側には旅館か料亭を思わせる建物もあり、少なくとも車社会になるまでは賑わいを示していたところだろうと思わせた。
 

訪問日:2019.08.10 TOP 町並INDEX