長南の郷愁風景

千葉県長南町【在郷町】 地図 
 
町並度 3 非俗化度 9  −半島を横断する街道沿いに商店が集積した−






 長南町は房総半島の中央やや北寄り、市原市、外房の一宮町にそれぞれ10km余り、また城下町大多喜からも北に10kmほどである。
 そのような位置にあることから、中世には城が構えられ城下町が形成されており、近世になると街道交通が増加し宿場町的性格をしめしていた。中でも慶長11(1606)年に始まった六斎市により、周囲の農山村からの物資、生活用品などが取扱われ江戸期を通して賑わったことがこの町の発展に大きく貢献した。旅籠をはじめ、居酒屋・油屋・紺屋・米屋など種々の商店が発達した。大多喜や一宮に通じる房総往還中街道の道筋にあったことも寄与していたのだろう。
 明治〜大正にかけても市は継続され、節目の市は初市・ヒナ市・タコ市・盆市・暮市などと呼ばれ大きく賑わったという。8軒の呉服屋、17軒の料理屋が存在していたというこの頃の記録がある。明治末期に茂原との間に人車軌道(人が荷を押して運搬する鉄道)が開通し物資の運搬に用いられたが、後の自動車輸送の普及により廃止され、また動力による鉄道も開通を見ることがなかったため次第に衰退した。 
 現在、役場のある付近から国道409号に合流する付近に町並が見られるが、活気は余り感じられない家並である。しかし現在でも営業中の商店も幾つかあり、また妻入りの母屋と土蔵を持つ薬局などかつての繁栄を主張している姿を眼にすることが出来る。









訪問日:2016.04.30 TOP 町並INDEX