台ヶ原・白須の郷愁風景

山梨県白州町【宿場町・在郷町】 地図 <北杜市>
 町並度 5 非俗化度 5 −山々の風景の素晴しい甲州街道沿いの町−



 旧甲州街道の宿駅としての歴史を持つこの台ヶ原の町並は甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳の二つの対称的な山を望む地にある。旧街道沿いには豊富な伏流水を使い醸造された酒「七賢」を産する造り酒屋が杉玉を提げ重厚な面立ちで訪ねるものを迎え入れる。
白州町台ヶ原の造り酒屋




白州町台ヶ原の町並
 

 地名の通り富士川の支流・釜無川の河岸段丘上に展開し、西から東に緩やかに下っているが穏やかな地形の上に町が形成された。信濃側へ教来石宿まで1里余り、江戸側へは韮崎宿まで4里の位置にあって、江戸後期の天保期には本陣1軒をはじめ14軒の旅籠があった。隣の宿駅まで人馬を継ぎ立てるための問屋場、年寄のほか酒屋、鍛冶屋、茶屋、紺屋、桶屋などの商売もあって、参勤交代などの重要通行のみならず庶民の旅人の休泊にも寄与した。善光寺参りや身延山参りなどの信仰客も多くこの宿を利用していた。
 信州方面からの年貢米はここから鰍沢河岸(鰍沢町)に津出しされ、そこから富士川を下って駿河国岩淵河岸に達し、その後清水湊や蒲原浜から江戸へと海路輸送されていた。
 台ヶ原地区では先に触れた造り酒屋が町並風景の中心で、その他にも伝統的な旧家が残っている。宿場町時代からは道路も拡張されているため古い町並としての風景は連続的ではないが、南アルプスなど周囲の山岳風景が清清しい街道集落を造りだしているのだろうか、古い町並としてそれ以上のものを感じる。
 台ヶ原地区を過ぎ少し西側に坂を上ると白須地区となる。ここは宿場町から外れるが次の教来石宿までの間隔が短かったこともあり、断続的に町場が形成されていたのだろう、緑の生垣に囲まれたこざっぱりした町並が続いていた。途中には老舗旅館・鶴屋旅館や敷地の広い屋敷型の邸宅もあちこちに残っており、町並としての印象度は台ヶ原地区に匹敵するか、むしろ高いものがあった。




白州町白須上の町並




白州町白須下の町並
訪問日:2009.01.02 TOP 町並INDEX