道場の郷愁風景

神戸市北区<宿場町> 地図 
 町並度 4 非俗化度 8  −畿内と丹波・但馬を結ぶ街道の要地−






道場町日下部の町並


 道場は現在は神戸市北区に属しているが、かつては道場村という独立した自治体で明治中期に道場川原村、生野村、日下部村など7村が合併して成立したものである。ここには畿内各地と但馬・丹波地方を結ぶ古くからの街道が開かれていて、京街道・有馬街道・丹波街道・大坂街道など時代や地方によって様々に呼ばれ、道場には宿駅が設置され宿場町として町場の発達を見た。
 町並は国道176号線の日下部交差点より北西に分岐する旧道から始まる。間もなく鼠漆喰に塗りごめられた平入りの町家と、土壁むき出しの町家が対峙した町並が出現する。日下部地区で町並らしいのはこの付近のみだが、その北側に直角に二度街路が折れ曲る枡形があり、ここが宿場町であったことがわかる。
 それより北に向うと道場地区である。南部には妻入りの典型的な町家の姿、そして有馬川にかかる橋近くに町家建築が数棟固まった一角があった。妻入りが見られるのは丹波地域に近いからか。いずれの箇所も連続性には乏しく、多くでは歯抜け状態でありまた新しい建物に更新されている。
 街道は明確に残っているので、わずかとはいえ生き証人として残る伝統的な町家の姿を後世に伝えていっていただきたいところだが、大都市郊外に含まれる地区でもあり、いつまで町家群が残るのか。何らかの手を打たなければ近い将来消滅してしまうことは明らかだろう。
 
 




道場町道場の町並




道場町道場の町並 道場町道場より橋を渡った北側の町並

訪問日:2008.11.23 TOP 町並INDEX