越前東郷の郷愁風景

福井市東郷<城下町・在郷町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7
  -城下町が基盤の町に親水空間が展開する-










街路中央の水路が特徴的な東郷の町並


 福井の市街地から南東に5kmほど、足羽川左岸に位置する東郷地区。越美北線の越前東郷駅から南に100mほど歩を進めると、水量豊かな流れがあり、その両岸に家並が連なる独特の町並景観が展開している。
 中世には朝倉氏が本拠とする土地であったが、同氏の滅亡後16世紀後半に東郷に入部した長谷川氏がここに城下町を整備したとされる。東郷城の城下町として町場も発達したが、長谷川氏の後に入城した丹羽氏が関ヶ原の役に際し西軍に属したため廃城となった。
 以後も城下町としての基盤があったために在郷町として存続することとなった。また大野街道と東郷街道という二つの街道が交差することもあり、宿場町としても栄えたという。
 この町並を特徴付ける水路は足羽川から引かれた疏水である。農業用水というが中世より町場の中を貫いていたといい、生活用水としても使われていたという。道路も左右岸での一方通行となっているのも珍しい。一度は汚染されたというこの流れも近年になり整備された御蔭で、清らかな親水空間として貴重なものとなっている。
 伝統的な建物はそれほど多くないものの、所々商家を思わせる建物や土蔵が見られ、城下町以来の歴史に根ざした町であることを感じさせる。また東部には造り酒屋も現役で、在郷町としての賑わいを今に伝えているようであった。
 










訪問日:2018.08.13 TOP 町並INDEX