江戸崎の郷愁風景

茨城県江戸崎町<商業町(川港町)> 地図 <稲敷市>
 
町並度 4 非俗化度 8
 −霞ヶ浦と利根川を結ぶ結節点にあった町 物流の拠点として発展した−






 江戸崎は県の南部、霞ヶ浦に通じる小野川下流に市街中心を持つ。中世には江戸崎城があり、城下町も形成されていたという。
 江戸時代は初期に一時江戸崎藩が存在、その後も地域の中心であり続けた。それは霞ヶ浦の内湾ともいえる位置にあることから水運に恵まれ、付近の諸村から集められた物資が利根川を経由し江戸へ向け次々と帆出されていたことも大きい。現在のように鉄道やトラック等の大量輸送の手段を持たない当時は、水運があるというのは物資輸送にとって命脈だった。現在判っているだけでも6箇所の河岸があったとされる。
 また江戸崎は近江商人の影響を受けて、自らも商業を発達させた。その筆頭が特産品とされたの醤油で、天保11年の「醤油番付」によると、前頭筆頭に当地の辻田忠兵衛の名が見える。
 現代になって、交通幹線から離れた位置になってしまったことで首都圏の外縁に取り込まれる事もなく、比較的往時の姿が残されているといえる。とはいえ、今や古い町並としての体裁は低いといわざるを得ないが、土蔵や寄棟屋根の商家建築などが現役で残っているのを見ると、かつて水運の拠点として賑わっていたことが僅かながらも感じられ、それは色褪せてほしくないものと思った。
 伝統的な建物が残る東西の街路と直行する南北の道は商店街となっており、そちらも昭和レトロ的な趣が漂っていた。
 


江戸崎の町並










訪問日:2016.04.29 TOP 町並INDEX