藤脇の郷愁風景

広島県音戸町<農村集落・漁村> 地図 <呉市>
 町並度 3 非俗化度 10 −半農半漁の穏やかな集落風景−
 






藤脇の船溜り 緩やかな風景だ 藤脇の町並




藤脇の町並




釣士田の町並


 音戸町藤脇は倉橋島が細くくびれた位置の西岸にあり、南は倉橋町釣士田
(りょうしだ)に接し家並は連続している。この地名からも、生粋の漁村集落と想像できるが、どうも町並を歩いてみると漁家の佇まいとは言い切れない風景が展開していた。両集落に共通し細い路地が主体であり、大正から戦前に建てられたと思われるやや古い町並が連続していたが、漁家のそれは隣との境が判然としないような密集度と雑然さが特徴であるのに、ここでは個が独立したような、余裕を持った家々の並びが見られる。それは敷地に余裕があることもあるのだろうが、土蔵が多く見られることも農家を中心とした集落ではないかとの推測が生れる。
 事実音戸町域では瀬戸島村と呼ばれた島の北端付近は『新撰広島県管内地理』という明治23年に刊行された書物によると、「漁業甚盛ナリ」と記され、今でも典型的な漁村の佇まいが展開しているが、南側の渡子島村(藤脇を含む)については「苫(竹製品)を産す」とだけあり、農業と山稼ぎが中心であったようである。
 藤脇地区にはそれでも小さな船溜りの醸しだす味わい深い風景があったが、道路がその入口を塞ぎ新しい堤防の内側に船が舫われていた。但しその数は集落の戸数に比べて多いとは言えず、やはり農業を中心とした半農半漁の集落として長らく息づいてきたのだろう。
 この集落についての資料が今ひとつ少なく、推測の部分が多く正確でない可能性があるので、町史などで再確認をした上加筆したい。



訪問日:2007.01.08 TOP 町並INDEX