吹屋(下谷地区)の郷愁風景

岡山県成羽町<産業町> 地図 <高梁市>
 
町並度 7 非俗化度 6  −中心街とはまた異なった魅力を感じる珠玉の集落−
 

 

短い区間ながら重厚な家並の展開する下谷地区の町並 


 吹屋の中心街からは南東方向に坂道を下ると、谷間に下谷地区の家並が見えてくる。
 外観は赤褐色の屋根に紅殻を混ぜた土壁を表に出し、細やかな格子が見られるなど中心部と共通しているが、土地の余裕があるからかひときわ大柄で格式を感じるもので、土蔵を複数従えた屋敷型を呈するものも見られる。中心街と比較するとわずかな家々であるが、改めて歩いてみるとその立派さに目を見張る。まさに珠玉の集落風景というべきところである。
 旧家の多くは田村家を名乗り、それぞれ弁柄商を営み松店・梅店・竹店と呼ばれていたそうだ。案内板によると、殊に松店と云われたものは安政三年頃築の母屋が残り、田村家は明治半ばにここに移り商いを始め、昭和49年まで続けたという。
 また竹店は初期の吹屋郵便局長を務め、梅店は明治後期には煙草商も行っていたとの解説があった。
 一角には旧吹屋往来の案内標識もあり、産物の輸送は川港成羽からは水運に依っていたというがその先に眼を遣ると大変な急坂で、吹屋の中心街に至るだけでも相当な足労を要しそうであった。
 吹屋への観光客は車で通過するばかりであるが、下車して少し歩いてみる価値はある。
 


 


 
 



 
   


  
宇治地区の旧仲田邸

訪問日:2022.05.02 TOP 町並INDEX