福井市の郷愁風景

山口県福栄村街道集落 地図 
 町並度 4 非俗化度 10  −萩背後の山間部とを結ぶ街道沿いの市場町−



 萩市から東へ山間部に分け入り約10km弱、狭い盆地に石州瓦の赤い色彩の散らばる田園地帯、福栄村福井市の佇まいである。萩を控えた街道の重要な地であり宿駅も設けられていたという。
福井下の町並
 
 集落は福井上・福井下にわかれており、いずれも萩藩領に属していた。福井上の方がやや大きく1600余の人口があったが、旧街道が通い宿駅業務を司ったのは福井下(1100人余)であった(地下上申)。
 福井市の名が示す通り、毎月末に市が立ち各地の物資が集結したほか街道を通して遠来の客もあったのだろう。阿武郡の山間部一帯から萩城下とを結ぶこの街道は石州とのつながりも強く、幕府巡検使などの通行もあって枝往還としては重要な位置付けをされていた。
 県道に沿い真新しい道の駅が出来ており、そちらに出入する諸車も多い。しかしそこから東へ500mほど、街道が緩い曲線を描く辺りには伝統的な建物の連なりがあった。旧福井市の町並である。漆喰に塗り回された町家建築をはじめ、入母屋の屋根を持つ家屋、土蔵などが見られ街道集落らしい様相を示していた。
 県道を通行する車両は通過するばかりであり、家並も連続性・規模ともに今ひとつではあるが、赤瓦に被われた立派な門を従えた屋敷などを見ていると市が立ち賑っていた頃の昔が僅かながらも想起できるようだ。
 




福井下の町並




街道の南外れから見る

訪問日:2009.06.28 TOP 町並INDEX