福岡の郷愁風景

富山県福岡町商業町(在郷町)・街道集落 地図 <高岡市>
町並度 6 非俗化度 7 −北国街道と小矢部川舟運で繁栄を見た−




旧北国街道沿いの町並


 福岡町は県の西部、高岡市と小矢部市の間に位置し、礪波平野の北端を占めている。
 小矢部川の流域となっており、古くから舟運が発達していた。河口の伏木が大きな港町だったこともあり、付近の産物が集結する地ともなり、町場としての発展は古い。
 福岡には北国街道が通ったこともその繁栄に寄与した。当初は西側の今石動から戸出を経由して富山に達していたのが、慶長期に高岡経由に改められ、今石動と高岡の中間にあった二つの村が合併して福岡町が発足したものである。宿駅の機能はなかったが、参勤交代時のための休息所が設置された他、加賀藩の米蔵も置かれており、ここに周囲から年貢米が集められ収納されていた。それらは小矢部川を下り伏木港より海路に委ねられていた。
 街道上の町場として人の往来も多く、商業も菅笠の仲買人、同じく菅笠の仕入人、質屋、豆腐屋、油屋などがあった。菅笠は当地の産物として知られており、高岡町人などの手を経て金沢をはじめ能登や富山など近隣各地に売られた。それは明治になってからも盛んで、他に養鶏や養鯉、木炭生産も盛んに行われていた。
 明治31年に国鉄北陸本線が当町を経由して高岡まで達すると小矢部川舟運は廃れ、北国街道の役割も薄らいでいったが、旧道沿いには街道集落を思わせる古い町並が濃厚に残っていた。
 古い町並として注目されていないのが意外なほどの連続した町並景観を保ち、また二階部分が街路に飛出したような北陸独特の家々が連なる風景は迫力的でもある。1階部の出格子もよく保たれた家屋が多く、積雪対策のためか路面より一段嵩上げされた上に家屋が建てられている例が目立つ。夜は戸締りするのであろうが、私が訪ねた時には玄関が開放され各家の土間が見えている姿が印象的であった。出格子ではなく荒格子がはめられている箇所は街道に向って開放される構造となっていて、それらはかつて商家であったと思われる。金沢にも近い土地であることも影響しているのだろうか。
 地元は町家の活用に取組んでいる色が随所に見られる。いずれも地味なものではあるが、それを見て私は当面の間、ここは古い町並として安泰だろうと感じた。保存するに値する町並が展開している。
 









訪問日:2008.06.07 TOP 町並INDEX